インドネシアのジャワ島にあるボロブドゥールは、カンボジアのアンコールワット、ミャンマーのパガンに並び仏教の3大遺跡のひとつです。この遺跡の大きさは、一辺120mの基壇で高さが33m。基壇の上に5層の四角形壇、さらにそのうえに3層の円形壇があり、全体で9層の階段ピラミッド構造になっています。
すごいのは遺跡の壁面全体がお釈迦さまの生涯、仏教・インド神話等の精巧な石レリーフでできていることです。
遺跡は、8~9世紀にこの地方を支配していたシャイレーンドラ王朝によって建造されました。その後近くのムラピ山の噴火で火山灰に埋もれ、密林になり、ずっと忘れられていたのですけど、1814年にイギリスのラッフルズ(シンガポールの建設者)により発見され、12年の歳月を経て掘り起こされました。
小高い丘の上にあり均整がとれたこの巨大な遺跡には、仏像が504体もあるそうで、巨大な曼荼羅のようです。この島嶼部地域は現在主にイスラム世界ですけど唐の義浄上人(「南海寄帰内法伝」、「大唐西域求法高僧伝」を著した)が7C後半に隣のシュリーヴィジャヤ王国に渡印前後に寄られた頃は、大乗仏教がすごく栄えていたそうです。私が訪れた30年前の1995年には、仏塔内を自由にどこでも見て歩けましたが、現在、こちらでもオーバーツーリズム問題が起こっていて人数制限や予約制にしているそうです。
●写真 ほとんど、ネット内の写真。⑩~⑫は自分で撮ったビデオ内の写真。①~④空からの遺跡。素晴らしいです。⑤上部にある石の仏像。背後の仏塔の中にもそれぞれ仏像が入っています。⑥⑦石のレリーフ。レリーフ面の数は1460枚、総延長は5km、登場人物は1万人以上だそうです。⑧⑨令和5年に訪れた現天皇さま。サンダル履きは遺跡保護のため。⑩⑪当時のガイドさんが、この仏塔の中の仏像を触ると幸運が訪れると説明していたので、皆が腕まで中に入れて触っているところ。⑫水ホースで流しながら刷毛で掃除しているところ。⑬遺跡の断面構造。⑭~⑯発掘後、整備を始めている頃の写真。