唐代の僧・玄奘三蔵(602~664)は、仏教史上まれに見る「スーパースター」といえる存在です。日本でいえば、聖徳太子や大化の改新の時代にあたり、驚異的な精神力と知性、そして並外れた記憶力によって、誰も真似できない偉業を成し遂げました。
玄奘の偉大さは、次の三点にあると思います。
① 命がけの求法の旅
仏法を求めるため、当時の渡航禁止令を破り、陸路でインドを目指しました。高山や大砂漠を越え、盗賊に襲われるなど幾度も命の危険にさらされながらも、長い旅を成し遂げ、膨大な経典や仏像を携えて帰国しました。
② 卓越した学力と翻訳事業
インドでは当時最高峰のナ―ランダ―仏教大学で徹底的に学び習得し、帰国後は多数の経典を正確かつ体系的に漢訳しました。現在広く読まれている『般若心経』も、玄奘の翻訳によるものです。
③ 『大唐西域記』の著述
旅の見聞を『大唐西域記』としてまとめ、西域や南アジアの風土・文化・宗教・政治の様子を詳細に伝えました。情報をデータ化することができない古代に、各地の出来事を事細かく正確に記憶していたことは驚異的です。
なお、16世紀の明代に成立した小説『西遊記』は、この『大唐西域記』を基にした物語で、孫悟空などが登場する冒険作品として広く親しまれていますね。
●写真 ①玄奘の像と背後に大雁塔。(今の西安、昔の長安(唐の都))②③玄奘の絵。④玄奘が17年間で訪ねたルート。⑤~⑧大雁塔。玄奘が持ち帰った経典等を保存してあります。高さ64m。内部も。42年前に私が撮った写真です。⑧⑨塔の7階から経典の翻訳作業がおこなわれた大慈恩寺境内を見下ろした写真。塔以外の街は、倍速で近代化しています。⑩⑪⑫法性寺にある大蔵経と國譯一切経の「大唐西域記」の摩伽陀國(マガダ国)下のところ。マガダ国は、成道の地ブッダガヤや王舎城、竹林精舎、霊鷲山等があるところ。読めば玄奘の最強パワーの億分の一でもいただけるのではないかと願って関係本を読んでいます。⑬岩波新書。⑭西遊記のマンガ。














